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BOYA

2024高山椅子展で発表した新作スツール。

色々なことで時間に追われ、ケツに火がついた状況下で作ったこともあり、小火(ボヤ)と名付けました。

名前の通り座面下から発火し、全焼する前に食い止められた様をデザインに落とし込むのはかなり難しく、洒落にならない様コントラストに気を配り制作しました。

今回1番のコンセプトとしては、面取りやテーパー加工等、普通は「刃物」を用いる造形作業を全て「火」のみで行う事でした。

座面は元々抑揚のない角の立った円柱形でしたが、船底形状になる様、端から順に火をつけては鎮火し、炭化した部分を子削ぎ取りながらまた火をつけて、を繰り返し画像の形状にゆっくりと造形しています。

また、脚を組みつけた後で火をつけるとホゾの強度低下や変形に繋がるため、それぞれパーツの状態で部分的に燃やし、その後でホゾ加工を施しています。

バーナーは使用せず、寒くなってきた工場の薪ストーブにて木部の上を自由に火を走らせました。

月面のクレーターの様なランダムな凹凸は、トップとの境界線でピタリとフラットに収束します。

特別高価ではない、ごく一般的な杉材を使用する事で、重量ほぼ1kgの軽量化に繋がり、接合部を焼き締めておく事でねじれやグラつきのない強度も確保する事が出来ました。

焼けた部分が闇に溶け、天板と脚のみが浮かび上がる幻想感は狙ってはおらず、嬉しい誤算となりました。

時間を掛けて良くなっていく作品も好きですし、今回の様に追い詰められた中でしか出せない瞬発力のある作品も良いものだな、と満足しています。